風の停留所

母の看取りをきっかけに意識や生と死について探究しています。内側に湧いたものを表現する練習中です。

生き物の死にざま

夕食後、「NHKダーウィンが来た!」がやっていて、なんとなく見ていたら、番組が視聴者からの疑問に答えるというコーナーで、

ある家庭のテーブルに無数の穴が開くようになったので原因を突き止めたい!というのがやっていた。

腹痛でぼんやり見ていて記憶があいまいだが、小さなマイクロスコープで穴の中を映したところ小さな昆虫(アライブ)と成虫の死骸が穴の入り口付近で発見された。調査すると、これは1㎝程の昆虫で木材を食べて育つとのことで、専門家の先生は「このまま使えなくなるくらいまで食べ続けるでしょうね(キッパリ)」とのこと。

「えー!」と言いながらもなんだか楽しそうな家族。(虫好きなのかな?)」

そして、入口付近にいた成虫の死骸は、産卵を終えて息絶えた親だとのこと。

子供たちを守るために入口付近まで移動して天寿を全うしたと。

 

今年のはじめに手に取った【生き物の死にざま:稲垣栄洋】も、生き物がどのように生き、どのような最期を迎えるかが書かれていた。

オスがメスに食べられたり、親が子供に体を差し出したり、一生ただ餌を取るだけ、巣を守るためだけのために生きたり。

 

…孵化したばかりの小さな幼虫は獲物をとることができない。幼虫たちは、空腹に耐えながら、甘えてすがりつくかのように母親の体に集まっていく。

いったい、何が始まろうとしているのだろうか。

 

あろうことか、子どもたちは自分の母親の体を食べ始めたのである。

そして、子どもたちに襲われた母親は逃げるそぶりもみせない。むしろ子供たちを慈しむかのように、腹のやわらかい部分を差し出すのだ。

・・・

母親は少しずつ少しずつ、体を失っていく。しかし、失われた体は、子どもたちの血となり肉となっていくのだ。

 

当たり前のようにそれを行うのはなぜなんだろう

最期を迎える時、いきものは何を見て何を感じるのだろう

にんげんと同じなんだろうか

 

 

生き物たちは運命をただ全うしている。

疑問に思う暇もなく、やるべきことを全力でやる。

すべて、次の世代へと繋ぐため。 とてもシンプルだ。

 

にんげんは、こんなにいろいろをまとって、

揺れて、迷い、ぐらつき、嘆く、 とても弱いいきものなんだな。

 

 

たまたまにんげんに生まれてきたけれど、

このいのちを全うするとは、いったいどういうことなのだろう

 

日々問いながら、人生が過ぎていく 

 

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