風の停留所

母の看取りをきっかけに意識や生と死について探究しています。内側に湧いたものを表現する練習中です。

お腹がすいたときは

夕飯はハニーマスタードチキン。

名前は豪華だがはちみつと粒マスタードを焼いたチキンに和えるだけの

ズボラなわたし御用達のレシピ。

 

いただきまーす!

 

もぐもぐ…おぉ、今日はフィギュアスケートの日だった。みんながんばってと祈りながらみるわたし。

いやー、今の選手惜しかったなぁ・・

 

・・

「もっとちょうだいよ」ギロッ

 

隣の祖母がお替りを要求している。

自分で作ったいかといんげんの酢味噌和え。ちょっと甘すぎるけれど、帰りが遅い孫を助けようと作ってくれていたようだ。

 

「なんか怖いんだけど、怒っとる?」

 

「…別に」

 

なんだか不機嫌な祖母。なんかあったかなぁ。

 

こういう時、乱暴に言われるとついこちらも言い返してしまうことがよくあるけれど、

お腹がすいても、一緒に食べようとがまんして待っていたこと、

自分が作ったのがお腹いっぱい食べたかったんだろうということ、

そういうのを、想像してみると、別に怒りで返す必要はないなと冷静に想う。

 たらふく食べた後は、イライラもせず、満足そうな祖母。

食べ過ぎてむせている。ゆっくり食べてね。お茶も飲んでね。

 

 

 

 

こどものころ、ほんとうによく癇癪を起こした。

なぜだか理由は覚えていないけれど、よくご飯の前にぐずぐずと文句を言って泣きわめいていた。

そんな時いつもハハは

「後でどんなに怒ってもわめいてもいいから、まずごはんを食べなさい」

と言っていた。

 

もちろんそう言われて、

「わかった!そうするー!」と言わないのがこどもである。

声は一層大きくなり、びーびーーのぎゃーぎゃーであった。

 

止まらないぐらいぐずっていた時は必ず別の部屋に言って、

発作のように自分の頭をたたいたり、全身を引っ掻くわたしを必死に抱きしめていたハハ。

「お腹がすいたらなんも考えれなくなるから、あったかいごはん食べよう」

と手を握りながら言って。

 

あのときの感覚がまだ残っている。

 

 

そうだ。泣いても怒ってもだいじょうぶ。

まず、あったかいごはんを食べようよ。

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